「五条楽園って」其の伍
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31 ) 熟れた芸妓.
[2004/02/09(月) 23:33]
10月も終わりが近づき、それでも彼の姿を見ることはありませんでした。ふと、彼が京都市役所近くの寺町通に住んでいることを思い出し、時代祭の日に彼の住んでいる近くまで行ってみたのです。大勢の人だかりの中に、もしや彼の姿を見つけられるのではないだろうか、そう思ったのです。祇園祭の宵山で、彼が私のことを想ってくれたように、時代祭の人波に、私は彼のことを想い、彼の姿を捜し求めたのです。でも、私には、彼の姿を見つけることができませんでした。
 こんなことになるんだったら、お座敷に来てくれているときに、素直に「私もあなたが好きです」と言えばよかった。神様、もう一度夏に戻してください。時間を戻してください。毎日、高瀬川の流れを見ながら、流れゆくものの無常を感じていました。
 実は、今年の秋、斬九朗の名前でカキコしたのは私です。彼にもう一度逢いたいと云う一心で書いてしまったのです。もし、彼がこの板を見ているのであれば、きっと何かを感じてくれるはず。そう思い書いたのです。
 やがて、東山も秋の色に変わり、それでも彼の姿を見ることはありませんでした。そう言えば、夏に彼は、「秋になったら、一緒に紅葉でも見に行こう」と私を誘ってくれていたのです。そのとき私は、言葉を濁してしまったのでした。今誘ってくれたら、素直に「はい」って言うのに。私は、恨めしい思いで東山の紅葉を眺めていました。
 仕事が終わっての帰り道、何度空を見上げて星に願いを託したことでしょう。もう一度逢いたい。一目だけでいい、その姿を見たい。誰でもいいから、彼をここに連れて来て。私の目の前に連れて来て。今すぐにでも連れて来て。

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